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「覇権か,生存か」の著者ノーム・チョムスキーとは何者か

 投稿者:Legacy of Ashesの管理人  投稿日:2014年 3月 5日(水)17時01分24秒
  通報 返信・引用 編集済
  http://www3.ocn.ne.jp/~zip2000/noam-chomsky.htm

注:本多勝一さんの著作に導かれてチョムスキーを読むに至った方へ

http://www4.synapse.ne.jp/nohoho/fromhonda.html

管理人注:後編はここ

http://www3.ocn.ne.jp/~zip2000/noam-chomsky-2.htm

続々編はここ

http://www3.ocn.ne.jp/~zip2000/noam-chomsky-3.htm

知の逆転

http://www3.ocn.ne.jp/~zip2000/chinogyakuten.htm

- ノーム・チョムスキー Noam Chomsky(前編)-

<ノーム・チョムスキーって誰?>

このサイトを立ち上げた時点で、僕はこの人のことをほとんど知りませんでした。しかし、今こうしてノーム・チョムスキーという人物を取り上げるというのは、ある意味必然的なことだったように思えます。なぜなら、こうして20世紀後半の歴史を少しずつ奥深くへと振り返って行くうちに、僕の頭の中には「ノーム・チョムスキー的世界観」と共通するものがしだいに形成されつつあったからです。

先日、チョムスキー氏についての本を読んでこう思いました。
「いやあ、これで頭の中がすっきりした」
僕の頭の中にあるアメリカそして現代社会についてのイメージが彼の分析によって、すっきりと整理されたのです。ただし、「すっきり」はしても、「さわやか」になったわけではありません。すっきりすればするほど、未来に対する展望は暗いものになった気がします。
でも、僕の数少ない座右の銘「人生においては、あきらめないこと、現実を見つめること、この二つを忘れなければ、なんとかなるものだ」からすると、「チョムスキー的世界観」こそ今世界に最も必要とされているものだと確信します。

チョムスキーとは?ニューヨーク・タイムスは、彼についてこう書いています。
「おそらく現存する知識人としては、最も重要な人物だ」しかし、彼のことを知っている人は、彼の住む国アメリカですら極々わずかです。それはなぜでしょうか?彼はどうやらロック界におけるフランク・ザッパのような存在のようです。

フランク・ザッパの名は、ロック・ファンなら一応聞いたことはあるでしょう。でも、アルバムを持っている人はそう多くはないはずです。当然、ロック・ファン以外での知名度はゼロに近いはずです。しかし、ザッパの偉大さは、実はミュージシャンの枠を遙かに越えたものでした。ではなぜ、彼のことをほとんどの人が知らないのか?それは、彼ほど反体制、反マスコミを貫いた人はいなかったからです。(詳しくは、フランク・ザッパ(後編)をご覧下さい)

<言語学者兼思想家>
チョムスキー氏は言語学者です。従って、言語学を学んだ人なら名前は知っているはず?ただし、彼の本をもっているかどうかは怪しいし、どんな人かを知る人も少ないのは当然かもしれません。
しかし、チョムスキー氏の場合は言語学者としての活躍以外にもうひとつ思想家としての活躍があります。本当はそちらの方面での知名度こそ高いはずなのですが、なぜかそうはなっていません。彼もまたザッパ同様いやザッパ以上に反体制、反マスコミの姿勢を貫いている思想家だからです。

たぶん、このサイトをご覧になっている方の多くは、彼の思想をすんなりと理解することができると思います。もしかすると、「なんだ、そんなの当たり前でしょ」と思われることもあるでしょう。しかし、彼が本当に凄いのは、その思想を1960年代から一貫して主張し続けているということです。そして、もしかすると、9.11の同時多発テロ事件がなければ、彼の名は今ほど世界に知られることのないままだったもしれません。残念なことに、この事件の後、イラクへの攻撃をに対して異議を唱えた知識人が、ほとんどいなかったため、彼の存在は急に注目を集めることになりました。僕も、この時初めて彼の存在に注目した一人です。
それでは、ノーム・チョムスキーとはいかなる人物か?ささやかながら迫ってみたいと思います。

<エイブラム・ノーム・チョムスキー>

エイブラム・ノーム・チョムスキーは、1928年12月7日ペンシルヴァニア州のフィラデルフィアに生まれました。彼の両親は、ともにヘブライ語の教師でした。ヘブライ語とは、ユダヤ民族の言葉です。当然、両親ともにユダヤ人でイスラエルの建国を目的としたシオニズム運動との関わりもあるバリバリのユダヤ人家庭でした。
意外なことですがアメリカでもユダヤ系は、昔から嫌われており、第二次世界大戦が始まるまではユダヤ人よりもナチスの方が人気があったそうです。(もちろん、その土地にもよるのですが・・・)彼もまた、回りからユダヤ人として、たびたび差別されたため、「人種差別」や「ファシズム」について早くから関心をもつことになりました。そして、自らが体験した不正義に対する怒りをその原動力として、その思想を培って行くことになります。しかし、そんな彼の考えを理解してくれる人は回りにそういたわけではなく、必然的に彼は孤立した闘いを強いられることになりました。
彼は広島に原爆が投下された日、まわりの反応とはまったく違う思いを抱いたことを、後にこう語っています。
「あの日は文字どおり、誰にも言葉をかけられなかった。私は絶対的な孤独を味わったんです。浮かれ騒ぐ連中の群れからたったひとり、逃げるように抜け出したんです・・・。あの話題については、誰にも話す気がしなかったし、皆の浮かれぶりが全く理解できなかった。・・・」

<言語学との出会い>

1945年、弱冠16才で彼はペンシルヴァニア大学に入学しましたが、すぐに大学での勉強に失望。もう少しで大学を退学し、誕生間近のユダヤ人国家イスラエルへの移住を決意するところでした。
そんな彼の人生を大きく変えたのが 同大学の言語学教授ゼリグ・ハリスでした。言葉の意味を科学的に調べる方法を考えだし、単なる言葉の博物学にすぎなかった言語学に革命を起こしたハリス教授はチョムスキーにとって、学問だけでなく政治的な考え方の面でも大きな影響を与えました。(ちなみに、ウディ・アレンの傑作「カメレオン・マン」の主人公の名前がゼリグでしたが、偶然でしょうか?)
ハリス教授のすすめもあり、彼は言語学以外に哲学や数学の授業にも出るようになり、言葉をより科学的に分析するための理論を着々と身につけて行きました。その後、彼はハーヴァード大学の特別学友会の会員に選ばれ、その研究のひとつとして建国直後のイスラエルで農業に従事しました。一時は就職先が見つからなかったこともあり、そのままイスラエルに住み着くことも考えた彼でしたが、マサチューセッツ工科大学(MIT)から、語学の研究員としての誘いがあり、アメリカにもどります。こうして、彼は1961年からMITの言語学教授となり、言語学に革命を起こすことになります。

<言語学における革命>

当時、言語学の主な仕事は、世界中に無数に存在する言語学を集めて分類し、その歴史的な流れを解明することでした。しかし、チョムスキーは言語学をアインシュタインらによって確立された理論物理学に匹敵する論理的な学問にしようと考えていました。そして、言語学を数式や論理的概念によって説明するために、より狭い範囲で、より抽象的な理論を用いて言語の仮説モデルを組み立てようとしていました。
彼は人間が言語を習得するのは、後天的に身につけてゆくのではなく、すでに遺伝的に持ち合わせている「普遍的な文法」にもとづいて行われると考えました。
「人間は”白紙で受け身の動物”ではない。生まれつき文法知識の一大体系を備えた存在であり、しかも自由意志に基づいて、どんどんと自分から知識を探求し、実りある活動を生み出していく潜在力が”人間の本性”として備わっている。・・・」

こうした考え方は、当時の心理学における主流派である「行動主義心理学」とまっこうから対立するものでした。人間は「環境の生き物」であり、環境によってどんな人間にでもなりうると考える「行動主義心理学」との対決は、チョムスキーの重要な仕事のひとつとなりました。

<言語学者チョムスキーについての考察>

こうした言語学者としての側面と後に有名になる政治にかんする思想家としての一面は、まったく別物であると彼は言っています。言語学者でなくとも、常識さえあれば誰でも政治の間違いを指摘できるし批判もできるということです。確かにその通りです。
しかし、彼の政治思想と言語学者としての思想に関係がないわけはありません。もう少し、彼の言語学者としての考えに迫らなければ・・・。というわけで、ただ今言語学者チョムスキーについて継続して勉強中です。近いうちに、再度発表したいと思っていますので少々お待ち下さい!

<激動の時代を闘い抜く>

彼が言語学の教授として活躍し始めた1960年代は、アメリカにとって激動の時代でした。特に1960年代の後半は国内では人種問題、国外ではヴェトナム戦争と二つの大きな問題を抱え、あらゆる人々がそれらの問題と関わりをもっていました。
しかし、大学教授という彼の立場は体制の側に位置します。したがって、多くの教授陣は、それらの政治的問題に対して見解を明らかにせずにいました。そんな中、彼は1967年「ニューヨーク書評」という雑誌に「知識人の責任」という論文を発表しました。
「知識人は、政府のウソを暴き出し、政府の行動を”解剖”して、その源泉となっている理由や動機や秘密の思惑をつきとめ、指摘できる境遇にいる。少なくとも西洋社会では政治的自由や情報公開や言論の自由が保障されているから、知識人は、そうした能力を発揮できるのである。・・・」

こうして、彼はヴェトナム戦争に対する反戦デモにも積極的に参加。政治的発言をどんどん発表して行くようになります。
そうした一連の発言の中で、彼はアメリカという世界一民主的な国家を築いた過去の偉人たちが残した不気味な言葉の数々を教えてくれました。
メディアの役割は国民が政府に愛着を持つように調教することだ」
ジェイムズ・ミル(19世紀の哲学者)
「国家の運営は所有者にまかせるべき」
   ジョン・ジェイ(最高裁判所初代長官)

「指導者としては、大衆が人並みの理解に達するまで待っていられないことも多い。民主社会の指導者ならば、社会的に建設的な目標に向けて大衆の合意が得られるよう、巧みな工作に努めねばならない」

エドワード・バーネイズ(PRの父と呼ばれた広告宣伝界の大物)

「一般世論は公共の利益など全く眼中にない。公共の利益を扱えるのは、みみっちい私利私欲など持ち合わせていない専門家階級だけである」
ウォルター・リップマン(ジャーナリスト)

「大衆には自分の利害に最善の判断を下す能力がある。などという民主主義の教条(ドグマ)を信じてはならない」

ハロルド・ラスウェル(政治学者)

こうした、見解のもとに生まれたアメリカの政治について、チョムスキーは、こう言っています。

「政治とは、お金持ちの投資家連中が互いに国の支配層を手に入れようと競い合う中で、そうした利害のぶつかりあいを調整する手続きにほかならない」

<マスコミによる宣伝布教の実体>

チョムスキーはエドワード・ハーマンとともに1988年「合意のデッチ上げ Manufacuaring Concent」を発表。その中でマスメディアがいかにして、政府や企業の力によって飼い慣らされているのか、その状況を分析しています。それによると、現代のマスメディアによる情報発信は、以下の「ふるい」によって骨抜き、毒抜きにされていると分析されています。

(1)企業グループ内からの圧力

マスメディアを運営する企業は、どんどん巨大化し、巨額資本をもつ大企業による吸収合併が進んでいます。アメリカのような多くのマスコミが存在する国でも、すでに20数社の系列しか存在しないと言われています。ということは、巨大企業グループ内の系列企業にとって不利益になるような報道は、当然できないわけです。

(2)広告主からの圧力

マスメディアは、企業運営、利益追求のために広告を載せなければ活動資金を得ることができません。したがって、広告主の意見は絶対的なものとなり、彼らに不都合な報道は当然できなくなります。

(3)情報源からの圧力

より多く、より早く、より細かい、より安価な情報を必要とするマスメディアは、政府や民間企業に所属する「専門家」の情報に頼らざるを得なくなっています。そのため、彼らの所属する国家、組織、団体、企業の不利益になるような報道はしずらくなっています。そうでないと、情報をもらえなくなるのですから。

(4)一般大衆からの一斉非難という圧力

マスメディアは、その公的な性質から一斉に大衆から非難攻撃されることを恐れます。もちろん、それは直接、視聴率や読者数の減に結びつくからです。そのため、マスメディアに対する一斉非難をその目的とする組織団体によって、報道の「自粛」を促すことが可能になります。日本でも、昔から右翼団体や総会屋が、その方法によって政界に影響を与えてきました。

(5)対立するイデオロギーからの圧力

かつて、50~70年代には、反共主義というイデオロギーが絶対的な力をもっていたため、このイデオロギーを肯定する情報は必然的に取り除かれていました。ただし、ロシアの崩壊にともなう共産主義の衰退により、仮想敵国を失った現在、反テロリズム、反イスラム原理主義が新たな敵対勢力として浮上。この仮想敵イデオロギーに関する情報制限は、別の方向に向けられつつあります。

<その他の圧力>

テレビやラジオなどの報道の場合、大量の情報を短時間で番組化して放映するため、その情報は必然的に簡略化されることになります。誰にでもわかるように説明するためには、一般大衆のもつ常識的な認識を逸脱した見解は、取り除かれることになります。(今、このページで書かれているようなこと)
さらに言うと、ジャーナリストそれぞれの立場の問題があります。ほとんどの記者は新聞社やテレビ局の社員です。ということは、社の方針に逆らうような報道をすれば、すぐに配置転換、最悪なら首になる可能性があるわけですから、自ずと自主規制が働かざるを得ません。

<国民に植え付けられた巨大な妄想>

こうして、ねじ曲げられたマスコミの情報は、国民に対してある種の巨大な妄想を植え付けようとしているのではないか?その妄想について、チョムスキーはこう述べています。

(1)国家は国民のものであるという妄想

「国家というものは、国民すべてのものであり、少数の金持ちが支配し、所有し、運営しているなんてことはありえない!」という妄想。

(2)マスメディアは公共のものであるという妄想

「マスメディアは公共のものであり、少数の金持ちが支配し、所有し、運営しているなんてことはありえない!」という妄想。

(3)自分の意見は自らの自由意志によるものであるという妄想

「自分の意見は自らの自由意志によって決められたものであり、少数の大金持ちの意志によって決められたものであり、少数の大金持ちの意志を反映するためにマスメディアが世論操作などによって埋め込んだもの、なんてことありえない!」という妄想

(4)アメリカには「アメリカン・ドリーム」があるという妄想
 さらに言うと、アメリカにはもうひとつ最大の妄想が存在します。
   それは「アメリカン・ドリーム」という妄想です!これについては後編で・・。

内容紹介.....知の逆転

http://www3.ocn.ne.jp/~zip2000/chinogyakuten.htm

インタビュー集「知の逆転」より

- ジャレド・ダイヤモンド、ノーム・チョムスキー、吉田真由美 -

    <「知の逆転」より>

以前、NHKで「知の逆転」というタイトルのインタビュー番組が放送されました。世界最高峰の知性といわれる様々なジャンルの専門家たちが、人類の今後について提言を行うという内容でした。登場したのは、ジャレド・ダイヤモンド、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、マーヴィン・ミンスキー、トム・レイトンなど。
ここでは、そこで語られていた印象的な発言をもとに、このサイトなりの未来予想としてまとめてみようと思います。インタビューの詳細については、NHK出版新書として発売されている「知の逆転」(インタビュー吉田真由美)を参考にしています。新書版ですので、手軽に読めます。是非、ご一読ください。

  <ジャレド・ダイヤモンド>

ジャレド・ダイヤモンド Jared Diamond は、生物学、進化生物学、生物地理学の専門家。主な著書には「銃・病原菌・鉄」、「セックスはなぜ楽しいか?」「文明崩壊」など。 彼は現在の世界の経済地図は、なぜ南北ではっきりと別れているのか?白人優位の人種対立の原因は何なのかについて、こう語っています。
「西欧の成功というものは、いくつかの幸運な地理的条件が偶然重なったから成り立ったのであって、ヨーロッパ人の生来の能力が他の地域の人々よりも優れていたのではない。・・・」
けっして白人が頭が良かったからとかキリスト教が優れた宗教だったから、とかいう理由ではないということです。最も重要な要因は、人種でも宗教でもなく地理的条件であると断言しています。そうなると、文明の崩壊というのもまた、そうした「地理的条件」を破壊することから始まると考えられます。ではその地理的条件とは何でしょうか?

  <先進国と後進国、その境界線とは何か?>

(1)現在の地理的条件
気候、地形の特徴が地域産業の種類や成功、不成功を決める。(農産物、石油などの産出物があるなしなどの影響)
(2)歴史的な地理的条件
石油の産出、農業の発展、港湾の誕生・・・そうした歴史が現在にまで影響を及ぼしている。(一次産業の有利さを二次産業、三次産業に生かす)

<文明崩壊の条件とは?>

(1)環境に対する取り返しのつかない人為的な影響(化石燃料の消費による地球温暖化はその代表的な例)
(2)気候の急激な変動
  (3)敵対する近隣諸国との対立(戦争、軍事費の無駄使い)
  (4)友好国からの疎遠
   (5)環境問題に対する誤った対処

歴史的には、過去に多くの国が発展とともに森林伐採をしすぎて国を崩壊に導いたといわれていますが、現代では地球全体がその暴挙を繰り返しつつあります。さらに地球全体における経済格差が(3)(4)の問題を悪化させています。環境問題と経済格差の問題が今や地球全体を崩壊へと導きつつあるといえます。

「現在のように消費量の格差がある限り、世界は不安定なままです。ですから安定した世界が生まれるためには、生活水準がほぼ均一に向かう必要がある。たとえば日本がモザンビークより100倍も豊かな国であるということがなくなり、全体の消費量が現在より下がる必要があります。・・・」
            ジャレド・ダイヤモンド

では、世界の経済格差を減らすことはできるのか?生物学者でもある彼はここで人類=人間という種についての根本に迫ります。

「ゴリラとチンパンジーの遺伝子の違いは全体の2.3%。ところが、人間とチンパンジーではそれが1.6%しかない!」

ということは、人間とチンパンジーは動物としての本質がほぼ同一だということになります。そして、その親戚といえるチンパンジーという種については、こんなことが明らかになっています。

「・・・チンパンジーのオスたちが近隣のチンパンジー・グループを殺すために、ひそかに偵察に出かけるという方法を取っていることが明らかにされていました。人間の暴力性は、チンパンジーのそれに似ていると言えるでしょう。」

チンパンジーと変わらない人間たちは、こうした生物としての暴力性を戦争や犯罪以外の分野にももちこむことで文明を築きあげていったといえます。その中でも、現在世界に最も大きな影響を与えている分野として「経済(市場経済)」という文化があります。
ここからは経済の問題について、ノーム・チョムスキー先生に語っていただきます。

            <ノーム・チョムスキー>

ノーム・チョムスキー Noam Chomsky は、現代社会を動かしている「市場経済」に対して、その根本的な問題点をあげています。市場経済を動かすシステムは、そもそも予測不可能であると彼は説明します。

<市場経済も根本的な問題点とは?>

「たとえばあなたが私に車を売るとします。市場システムではあなたと私の双方にとって納得の行くような取引をするわけです。その際、他の人にとってどれだけコストがかかるか(損害があるか)ということは計算に入らない。しかし実際には他の人にもコストがかかってくるわけです。(交通渋滞、大気汚染、原油価格の上昇・・・)こうした外部性は予測不可能です。」

その上、そのシステムを動かす人間がチンパンジーと大差ない暴力性に基づいているなら、種としての幸福など追求できるはずはありません。そんな人類が生み出した市場原理に社会をまかせることほど危険なことがあるでしょうか。

「そもそも市場原理が破壊的なので、企業というものがデザインされたのです。企業自体がもう既に市場原理に反しているのです。」

さらに面白いことに現代の先進国の企業の多くは国家的プロジェクトによって動いていて、市場原理に忠実に動く唯一の業界だと彼は指摘しています。特にアメリカは軍事産業、医療産業などを中心にそうした実質的な国営化が最も進んだ国であると彼は語っています。

「唯一市場原理だけで動いているのが、金融部門です。だから何度も破綻する。市場原理だけでは破綻は避けられません。金融部門はほぼ10年ごとに大きな危機に見舞われています。」
 金融以外の産業はほとんど国家的なプロジェクトに守られているという点で、アメリカは実は社会主義国と変わらないともいえます。しかし、その金融業界をもアメリカは守ろうとしていたため、オバマは大統領選挙の公約で銀行が危険な金融商品を販売することを規制する、と宣言しました。ところが、大統領に就任したオバマ大統領は、なかなかそれを実行できずにいます。利益の大きい危険な金融商品を売りたい銀行は、国の規制に対し抵抗し続けているのです。(2013年)

「負債というのは一種の幻想です。負債額は高いけれども耐えられないものではない。『経済成長』があれば克服できるものです。・・・では財政赤字の中身は何でしょう。半分は軍事予算です。・・・あと半分はヘルスケア・プログラム(健康保険費)です。ヘルスケア・プログラムは民営化されていて、おそろしく効率が悪い。」
要するに、軍事費を減らせばそれだけでも大幅な改善が見込めるはずなのです。それができないほど、人類は戦争にどっぷりはまってしまっているのです。

なぜ自由主義諸国のリーダーであったはずのアメリカが旧ソ連のようなことになってしまったのか?どうやら、それはかつてソ連が権力の集中によっておかしくなったのと理由は同じだったようです。ソ連においては「権力欲」がそうした事態の原動力となりました。それに対し、アメリカにおいては自由だからこそ勝ち組に富が集中し、そのために彼らが権力も手中に収めてしまうことになったのです。

「問題は民主主義の限界ということです。人類にとって、核の脅威や環境破壊よりも問題かもしれない。
アメリカは世界中で最も自由な国のはずですが、国内で力の不均衡がある。情報システム、メディア、広告などが、ほんの一部の手に集中しているのです。・・・
先の(2010年)中間選挙を見てください。当選した共和党議員の大部分が、地球温暖化を否定しています。主要委員会の若いリーダーは、『そんなことが起こるわけがない。神が許すわけがないから』と言ったのです。

自由国家では、国内の支配がごくわずかの巨大なパワープレーヤーに集中してしまいがちになる。しかもアメリカでは3分の1が聖書に書いてあることを文字どおり信じている。この二つが一緒になると、たいへん危険なことになります。」

こうして、権力と富の集中がアメリカを動かしているわけですが、そのアメリカという国自体も富と権力(そして核)をどの国よりも持てる国なわけです。そして、その持てるモノを使うことで、アメリカがさらに多くのモノを集めようとするのも必然的なことです。核兵器はそんなアメリカの持つ最大の切り札です。

「アメリカが考えているのは「核抑止」ではなく「核支配」です。本音を明かすべきだ。本音で「核抑止」を言うなら、イランの核武装準備を支援しなければならないのに、本音が「核支配」だからそうしない。」

「アメリカの軍事基地こそが「核拡散防止」を妨げているのだということを忘れないで下さい。核の脅威を実際に減らす最も良い方法は、非核武装地帯を設けることです。アフリカ連合は、さんざん議論をつくしてやっとアフリカ全体の非核武装地帯化に合意したのですが、実行に移せなかった。アメリカが反対したからです。」

イラクでもベトナムでもアフガニスタンでもアメリカは同じく自国の国益を守るためと、その国の民主主義を守るためという理由で戦争を始めています。共産主義、テロリズム、核兵器、化学兵器の拡散を防ぐため・・・。
またアメリカは、直接自分で手を下さずにCIAなどの組織を経由して軍事政権など右派親米の組織や政権を金銭的、軍事的に支援して傀儡政権を作ることも行ってきました。そのために育てられた組織の中に、皮肉なことにあのアルカイーダもありました。
それはアメリカがもつ唯一の価値基準であり、「世界の警察」がかかげる「正義」に基づく行為でした。しかし、その価値基準はほんとうに絶対的なものなのか?それを用いるアメリカ側の基準が間違っていたことは20世紀の歴史が証明しています。そして、それに対する天罰のようにアメリカは世界中に敵を作ってしまいました。

「イラクに何が起こったかを目撃したあとで、もしイランが核兵器を開発しないとしたら、彼らはまともじゃない」

チョムスキーはこうした自分本位の価値基準の押し付けをする存在こそが「偽善者」であるとしています。アメリカの正義=偽善であるというわけです。

「偽善者とは自分に課す基準と他人に課す基準が違う人のことだ」

 今改めて歴史を振り返るとき、アメリカがベトナム、イラク、アフガニスタンで行った戦争は、他国における市民の虐殺であり、侵略戦争そのものだった。そう気づいたからこそ、オバマ大統領によるシリア攻撃に対し多くのアメリカ国民が「ノー」といったのでしょう。

「アイゼンハワー、ケネディ、ブッシュ、レーガン、クリントン・・・みなミロシェビッチやスハルトと同じ犯罪者だ」
 もう少しでオバマ大統領もその仲間入りを果たすところでした。いやまだ、そうなる可能性は十分にあります。

以下は知の逆転の内容紹介

現代最高の知性6人が語る、
これが未来の真実だ!

「二重らせん」構造を解明したワトソン、「普遍文法」を提唱し言語学に革命をもたらしたチョムスキー……限りなく真実を追い求め、学問の常識を逆転した叡智6人。彼らはいま、人類の未来をどう予見しているのか。「科学に何ができる? 人工知能の可能性は? 情報社会のゆくえは?」――世界有数の知性が最も知りたいテーマについて語る興奮の書!


 
 
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